どうも、内藤です。
今回の話題は、これがわかれば、
あらゆる仕事”で“デザイン”という仕事の範囲を
掌握できるようになるはずです。
理解していれば、
“自分はデザインの仕事をしているのか?”
と問えば、仕事をしたかどうかの答えが出るはずです。
そして、デザインをする、ということを
もう一歩深くとらえることができるでしょう。
デザイナーというとかなりありふれた言葉ですよね。
グラフィックデザイナー、WEBデザイナー、
DTPデザイナー、インテリアデザイナー、
建築デザイナー、モーションデザイナーなどなど。
具体的な職種によって
〇〇デザイナーと名乗る人もいれば、
単に、「私はデザイナー」です。
と名乗る人もいます。
デザイナーほど、一般的な言葉はないくらい、
ほとんどの人がデザイナーという言葉を知っている
のではないでしょうか。
そして、この言葉もなんとなく
デザインをする人という
認識をしているでしょうし、
もっと言えば、
「ビジュアル関係の仕事をしているのかな?」
「なんかかっこいい、かわいい見た目を作る人なのかな?」
と思っている人も多いのではないでしょうか。
デザインというとよく
「センスが必要だ」
と思われている分野のものですから、
センスがいい人がなるものだ、と
思っている人も多いかもしれません。
確かに僕もデザイナーと聞くと、
ついビジュアル面を想像しがちです。
それくらい色のついた言葉のような気もしています。
しかし、案外デザイナーが
一体どんな仕事をする人なのか?を
説明できる人は少ないのではないでしょうか。
もっと言えば、デザイナーですら、
自分がやっていることを人にうまく説明できないような気をしています。
RE:THINKでは
デザイナーのためのビジネスの基礎を
扱っていますから、
「デザイナー」が一体どんな仕事をするのか?
をきちんと言葉として抑えたいと思っています。
まずはここを共通の理解として捉えながら
より深く物事を一緒に掌握していきましょう。
では、答えです。
デザイナーとは
ある目的に向かうエネルギーが滞らないように
全体の成り立ちから必要な機能を見出し
その機能を明確な形に表す人のこと
です。
長いですね。
しかも、スッと入ってこない。
決めるとか、考えるとか、とは違い
一言で表現できていないあたり、
とても理解に苦しみそうです。
実はそれくらいデザイナーというのは
複雑な仕事をしている人です。
僕はこの定義が、
最もしっくりくるものだと
思っています。
ではもう少し細かく解説していきましょう。
デザイナーとは
「ある目的に向かうエネルギーが滞らないように
全体の成り立ちから必要な機能を見出し
その機能を明確な形に表す人のこと」
とのことですが、
これは3つの文章からなります。
・ある目的に向かうエネルギーが滞らないように
・全体の成り立ちから必要な機能を見出し
・その機能を明確な形に表す
上2つが、
「本質的なアイデア」を出す仕事で
下が
「実行可能なアイデア」を出す仕事
です。
ある目的に向かうエネルギーが滞らないように
全体の成り立ちから必要な機能を見出す工程が
本質的なアイデアを出す仕事。
その機能を明確な形に表す工程が
実行可能なアイデアを出す仕事です。
ですから、デザイナーが行う仕事というのは、
「本質的なアイデア」を出す仕事と
「実行可能なアイデア」を出す仕事
この2つをやらなければ、仕事は終わらない、
とも言えます。
「本質的なアイデア」というのは、
一見「ばかな」と言ってしまうような
アイデアのことを指します。
えーそれはないでしょ。
みたいな。
しかし、よくよく聴いてみると
「なるほど」と思うようなものです。
iPhoneなんてまさに良い事例です。
iPhoneが出る前に、全面タッチパネルの
物理的なボタンのない携帯電話なんて、
受け入れられなかったでしょう。
「いや、そんなもの、ボタンがないし、
どうやって操作するの?」
と。
しかし、今はスマートフォンの
スタンダードのプロダクトデザインとして
君臨しています。
むしろ、旧来の押すボタン形式は
ガラケーとも言われて別カテゴリーとして
存在しているくらいです。
つまり、本質的なアイデアとは
「バカな」と言われてしまうような
アイデアですが、同時に、説明をすれば、
「なるほど」と思ってしまうようなアイデアのことを言います。
実は、この本質的なアイデアを
取り出すには「ひらめく」ことが肝になってきます。
「本質的なアイデア」を出すのが
デザイナーの仕事なのだとすれば、
デザイナーは意図的に
「ひらめき」スキルが使える必要がある
とも言えます。
つまり、
デザイナーにとってひらめきは必須スキルです。
(おもいつきスキルも必須です)
その一方で「実行可能なアイデア」とは
本質的なアイデアを、
様々な反論やクリティカルシンキングによって、
ロジカルに実行可能なモノにしたものです。
本質的なアイデアの段階では、
まだ想像の中でしかないのです。
ですが、
プロダクトやサービスに落とし込むときに、
さまざまな問題をクリアにしたのち、
きちんと形にすることができるアイデアが
実行可能なアイデアです。
ですから「バカな」と1回の「なるほど」の後に、
もう一度「なるほど」と言わせるような
深い納得が生まれるものが実行可能なアイデアの特徴です。
その機能を明確な形に表す工程が
実行可能なアイデアを出す仕事ですから、
これは、アイデアとともに問題解決をしていく
工程で、みんなでできる工程でもあります。
むしろみんなでやったほうが良い工程です。
なぜなら、
さまざまな反論やクリエイティカルシンキングを
やっていく回数が多ければ多いほど、
より盤石なものになっていくわけですから。
そうやって見出した機能を、
より盤石にしていく作業を
目的や全体イメージとずれていないかを
判断していくのがデザインレビュー
といったりするのです。
・どんな顧客がみるのか?(使うのか?)
・どういうシーンでみられるものなのか?
・どのタイミングで使うものなのか?
・フォントサイズは適切か?
・使っている写真はそれでよいのか?
・強調する文章は本当にそれでいいのか?
などなど。
多くの場合、レビューは複数人で行うことが
ほとんどですよね。
色んな観点で、突っ込んだりすることで
実行可能なものに落とし込んでいき、
ベストな形に表していくのです。
また、そうやって機能としてブラシアップされて
明確に形に表す作業は、基本オペレーターに
任せることができます。
これはもう作業として切り出すことができますから、
たった1人にお願いしなくても良いのです。
規模が大きいのであれば、複数人で
適材適所、得意な人に任せていくことが可能です。
つまり、機能そのものを
きちんと取り出すことができ、
反論にも耐えられる機能になっているのであれば
あとは明確な形にしていく作業は、
ツールが使える熟練者に任せていけば良いのです。
例えば、
PhotoshopやIllustratorで形にしていく作業、
映像なら絵コンテという指示書に落とし込む作業、
回路で言えば、図面に落とし込んでいく作業です。
どんな形か?は
そのプロダクトの工程によって異なりますから、
形状はさまざまです。
というように、
本質的なアイデアと実行可能なアイデア
この2つをきちんと取出し、形にする人のことを
僕らはデザイナーと呼んでいます。
ここまで、少しずつイメージが
わいてきましたか?
デザイナーとは
ある目的に向かうエネルギーが滞らないように
全体の成り立ちから必要な機能を見出し
その機能を明確な形に表す人のこと
です。
後半の実行可能なアイデアを出していく
という工程は比較的イメージしやすいかと思います。
実作業に最も近い工程ですから。
そして多くの人がおそらくこの
「その機能を明確な形に表す」という
実行可能なアイデアを出す仕事を
ビジュアル面のイメージと紐づけています。
実際、形に表す人ですから、
間違ってはいないでしょう。
ですが、デザイナーがデザイナーとして
意味を成す工程は上流工程です。
つまり、本質的なアイデアを出す部分です。
言葉の部分でいえば、
・ある目的に向かうエネルギーが滞らないように
・全体の成り立ちから必要な機能を見出し
この2文です。
重要な工程ですから、
これについてさらに詳しく触れていきましょう。
まず1文目から。
これは2つの行為が入っています。
・ある目的を見出すこと
・ある目的に向かうエネルギーが滞らないようにすること
この2つです。
1:ある目的を見出す
ある目的を見出すとは、
これだと思える要求やキーワードを満たすイメージが出来た状態のことを指します。
本来、デザインという仕事はクライアントがいて、
そのクライアントからこうしてほしい、という要求が出てくるものです。
またヒアリングなどからさまざまなキーワードが出てくるでしょう。
それらを元に、
必要十分を満たすイメージを
きちんと捉える必要があります。
ですから、そのために、
「ある目的」を洞察しなければいけません。
わかりやすく例を挙げていきましょう。
「家の近くでマルシェを開催するから、
そのマルシェイベントのチラシを作ってほしい」
と頼まれたとします。
この時、まずデザイナーは
クライアントの要求やキーワードを
きちんと捉えていく必要が出てきますよね。
チラシを作ってほしいと言われて、
チラシを作らず名刺を作っても
仕方がないわけです。
(チラシを作った後に、
必要に応じて提案ならわかりますが)
マルシェなのに、違うイベントのチラシを
作っても意味がありません。
地域の人だけでいいのか
何時ごろから開催するのか、
どんな出店者がいるのか
どんな想いでやっているのか
色んな事があると思いますが、
まずは要求やキーワードを汲み取っていきます。
そしてそこから、
目的をきちんと取りだします。
・プロダクトやサービスが生み出される目的
(イベントを開催する目的)
・イベントに参加したいと思うお客さんの目的
・クライアントの目的
・自分が関わるモチベーションにつながるもの(なぜ自分がやるのか)
などなど。
デザイナーであれば
無意識のうちに考えるはずです。
目的は1つではありません。
「ある目的」ですから、複数あるんです。
今回はイベントのチラシですから、
イベントに関わる人は色んな人がいますよね。
色んな工程で色んな人が関わり、
その中でチラシが機能していくわけですから
チラシが関係する人の分だけ、
目的を見出しておく必要があります。
イメージできますか?
よくデザインは
「自分が作りたいものを作るものじゃない」
と言う人がいますが、つまりはそういうことなのです。
自分が作りたいものを作るというのは
自分の目的しか満たさないような状態です。
しかし、デザインは
ある目的を見出す必要があります。
自分が作る目的もそこには含まれますが、
それ以外の関わる人の目的まで見出すからこそ、
そこに見合った機能を実装することができるんです。
「このチラシの文字、
小さくて読めないんだけど・・・」
もしこんなことをチラシを見てほしい人が
言ったのだとしたら、
それはチラシを受け取る人の目的を
うまく見いだせていないのです。
「こんなチラシじゃ配布できないよ」
とクライアントの言われてしまったら
クライアントの目的を見いだせていないと言えます。
たくさんの目的があるからこそ、
丁寧に要求やキーワードを汲み取っていく必要があります。
だから、ヒアリングは重要なのです。
ある目的を間違って見出さないようにするために。
そして、
この目的を見いだせた人がデザイナーです。
逆に目的を見いだせない人は、
中途半端なデザインしかできませんし、
もっといえば、デザイナーのサポートしかできません。
残念ながら、ここまで説明した工程は
多くの場合、デザイナーをやっている人も
無意識化されています。
仕事の中で覚えたからでしょう。
だから、仕事はできますが、
人に教えるときに、うまく教えられないという
状態が起きてくるのはこのためです。
一流のプロはここを
きちんと意識化しているとききます。
きちんと仕事を上達していくためにも
ある目的を見出していきましょう。
2:ある目的に向かうエネルギーが滞らないようにすること
さて、ようやく1文目の2つ目の行為です。
ある目的を精度よく見出すことができれば、
・ある目的に向かうエネルギーが滞らないようにすること
を想像します。
なんだか難しそうですね。
具体的にあげればイメージできるかもしれません。
たとえば
お客さんがチラシを見たときに、
エネルギーを滞らないようなものを意識します。
要は、読みづらい、イベントに行く気がなくなるようなチラシは回避しないとダメです。
当たり前ですよね。
クライアントがチラシを受け取ったとき、
萎えるようなチラシはダメなわけです。
むしろ、
「こんなチラシを作ってもらったんだから、
イベントを絶対成功させてやろう!」
と思えるチラシなら、
クライアントのエネルギーは
スムーズに流れていくでしょう。
印刷する会社のスタッフがチェックしたときに
スムーズに工程が進むということかもしれません。
チラシをデザインして、印刷ミスがあった、
色がおかしいなど、手戻りがあるのは
エネルギーロスと言えますし、
余計な予算を使ってしまうかもしれません。
こんな風に、チラシ1つとっても、
デザイナーは様々なことを想像し、
洞察することで、ある目的に向かうような
エネルギーを阻害しないように、滞らないように
最終的に機能を形に落とし込んでいくんです。
既にデザイン、誰かのために何かを
自分で作りきったことのある人は
無意識のうちにやっていたはずです。
ここってわかりづらいだろうか。
ここって魅力的に見えるだろうか。
こういう作業のことです。
言葉にすると難しそうですが、
やっていることはそういうことなのです。
うまくエネルギーが滞らないように
意識しようとしていたはずです。
たった1文字。
たった1つの写真。
文字同士の隙間。
など
そういうものに神経を注いできたはずなのです。
目的さえ見失わなければ、
きちんと実装できるはずですし、
そこにはきちんと説明できるだけの
意味を持たせようとするからこそ
それを形として残していると思うのです。
つまり、
一度でもデザインをしたことがある人は
この工程を踏んでいるんです。
それをもっと意識的にやっていきましょう、
ということですね。
今回の例でいえばチラシですから
イベントそのものがチラシがあることによって、
関わる人のエネルギーがうまく循環している状態
をキチンと洞察していく必要があります。
滞っていないかどうかは
洞察するしかありません。
で、こういうことを考えるのが
デザイナーですし、
デザインをするということです。
つまり、
マーケッターが集客のデザインをしている
という話でもあるし、
企画する人がイベントのデザインをしている
ともいえます。
グラフィックデザイナーであれば、
グラフィック面において、
エネルギーが滞らないように意識している
要はどのパートにおいて
デザインをするか?ということです。
だから、いろんな職種があり
○○デザイナーと言われるのです。
ブランドデザイナーなのだとすれば、
ブランドにかかわるあらゆるエネルギーの滞りを
極力減らしてうまく機能として落とし込める人、
と言えます。
大分イメージできるように
なってきたのではないでしょうか。
さて、本質的なアイデアの2文目です。
そう、まだ1文しか説明してません:笑
これが最後です。
・全体の成り立ちから必要な機能を見出し
ここが実は直感・ひらめきを必要とする工程です。
直感。ひらめきを必要とする工程ですから、
ここだけは個々の作業しかできません。
もう少し正確に書くと、
ひらめきの中の後工程だけは
みんなでは出来ません。
全体の成り立ちから機能を見出す
というのをチラシに例えるなら、
イベント全体、各工程のイメージ、クライアント、顧客などを含めた
全体イメージからチラシに必要な機能を見出していくことです。
顧客が若年層なのであれば、
若年層向けの見た目や読みやすさ、
色彩を採用する、ということ
イベントの予算、持ちやすさ、などから
チラシの雰囲気(サイズや形状)の機能を取り出す
集客という機能を果たすために、
見栄えや魅力という機能を、
競合するようなチラシから
きちんと取り出していく、
こういう部分ですね。
ここまで来るとようやく
実際の形に紐づくものが出てきます。
これは個人個人でしかできない作業です。
だから、何か新しいサービスや
プロダクトを生み出すときの、
本質的なアイデアは1人一人単独でまずあげていく必要があります。
ただし、先ほども少し書きましたが、
「おもいつく」「ひらめく」
のメカニズムがわかっていれば、
一部をうまく切り出すことができます。
それができれば、
複数人のチームで実行することも可能です。
ただし、あくまでアイデアが出るのは個人単位なので、
どの部分を切り出すか?は
注意してやっていく必要があります。
このあたりは
「ひらめくとは何をすることか?」
で解説していきましょう。
さて、いかがでしょうか。
ようやくこれで、
本質的なアイデアの2文目まで
解説しました。
「マルシェイベントを集客する
チラシを作ってほしい」
という例から
どんなチラシなら、
イベントを魅力的に伝えることができ、
集客できるか?をイメージする
ということをやっていくわけですが、
それをデザイナーとは何をする人か?
という定義の元で工程を紹介してみました。
照らし合わせて運用してみよう。
デザイナーとは
ある目的に向かうエネルギーが滞らないように
全体の成り立ちから必要な機能を見出し
その機能を明確な形に表す人のこと
でした。
本質的なアイデアと実行可能なアイデアを
を出すことがデザイナーの仕事です。
ある目的を見いだせたものだけが
デザインという仕事を丁寧に行うことができます。
言葉の定義はものさしです。
だから一回使ってみると、
より理解が深まるます。
今回の話、なかなか一発で
理解しきるのは難しいと思います。
ですから、ぜひ何度も読み直してみて、
実際に運用してみてください。
僕も元経営コンサルタントの先輩と
美大を試験中に寝てても
一発合格するくらいの天才デザイナーと
完全駆け出しの新人デザイナーのチームで
この議論をさんざんやって、
理解に至った経緯がありますから、
一筋縄ではいかないはずです。
ですから、ぜひ自分で一度デザインをしてみて、
その時の工程を意識化してみて下さい。
そして今回の中身と照らし合わせていくと
その真価が見えてくるはずです。
意識化で来たら、それを丁寧に実行して
繰り返しやすことで無意識に
もう一度入れることができるんです。
ここの精度の高さが、
あなた自身のスキルの精度の高さです。
やっていることをもう一度考えて
さらに深い理解に至ってください。
今回は以上です。
ヒントになれば良いのですが。