どうも内藤です。
今回も単価についてのお話をしていきます。
テーマは単価の上げ方です。
これに関しては色々あると思うんですが、
一番やりやすいものについて話をしていきます。
フリーランスで単価を上げたい場合、
何をどうすれば良いのでしょうか?
あまり単価について考えたことがない場合は、
ぜひ一度、考えてみて欲しいものです。
以前、どこかで
「工場性」と「作家性」
について触れてきましたが、
単価についてもこの2つの側面で
考えることができます。
まず工場性について。
これは言い方を変えれば、
「機能的価値」
ですし、
「生産性」
に該当する部分です。
ですから、技術が進歩していけば、
必ずしも人がやらなくても良い部分であったり、あるいは、
徐々に学習コストが下がったり、ツールを使うことで楽ができるものです。
これに関しては、品質が高ければ、高いほど良いというものですし
同様に効率化ができれば、できるほど良いものと言えます。
つまり、高いクオリティで素早くものを生み出せることが
最も重要になってきます。
ですが。
必ずしも高いクオリティで、素早く
モノを生み出せるからといって
高いコストがかかる、とは限りません。
高品質で素早い納品という高い生産性は
確かにコストがかかりやすい傾向はありますが、
これはあくまで“人間が全てやった場合”であって
機械が入れば入るほど、
低コスト化されるものです。
全て人間で作る場合は、品質を保つために、
高い技術力が必要になりますし、
その技術を担保するために、人材の教育も必要になってきます。
また品質を保つために、
チェック(検査)工数も必要になってきます。
速度を出すためには、たった一人で行うよりも
高い連携技術を使い、大勢でやったほうが
間違いなくスピードは出るものです。
だから、高いコストがかかるんです。
しかし、常に同じ品質のものを
人間よりも精度高く、一定のスピードで
制御できる機械が導入されると
このコストは極端に下がります。
その例としてわかりやすいのが
工場の大量生産です。
自動車産業などが最もわかりやすい事例です。
ですから、「工場性」というものは
機械が導入されればされるほど、
高品質で低価格が実現されやすいものとも言えますし、
価格競争にも巻き込まれやすい、とも言えます。
さて、「工場性」という部分は
クリエイターで言えば、なんでしょうか。
ご存知の通り、「技術力」ですね。
・綺麗なデザインができる
・かっこいい映像が作れる
・コーディングが早く正確である
・Photoshopが操作できる
・AfterEffectsが使える
そーいうもが技術力であり工場性です。
その工場性で、単価を上げていく、
というのはすごく難しいものです。
仮に同じ高い生産性で、低コストを実現している
ところと高いコストのところであれば、
お客さんは低コストのところを選ぶものです。
むしろ、高い生産性を持っているにも
かかわらず、低コストではないところは
「企業努力が足りない」なんていう
みられ方をするかもしれません。
事実そうでしょう。
ですから、工場性だけを見て単価を上げるのは、
正攻法だと僕は思わないのです。
では、どうすれば良いでしょうか。
「作家性」ですね。
こちらの部分で
単価の上乗せをすれば良いのです。
とは言え「作家性ってなに?」と思うかもしれません。
少し具体的に行きましょう。
工場性が技術力などのハードであれば、
作家性は作風、人柄などのソフトです。
つまり、ソフトの部分で単価を上げられないか?
という問いをすれば良いのです。
仕事でいう、ソフトというと、
・見積もりを無料から有料にする
・デザインなどのヒアリングの単価を上げる
・ヒアリングをコンサルという位置付けにして単価を上げる
・ディレクション費として追加する
みたいなことですね。
技術料というものは、
技術の進歩や市場の相場で
変わってくるものですが、
ヒアリング、コンサル、ディレクション、などは
少なくとも現時点では機械ではできない部分ですし、
AIが発達したとしても、人間一人のニーズや
感性や感覚を丁寧に洞察することはかなり難しいことです。
ChatGPTなどの自然言語モデルで
かなり推論できるところまではきていますが、
洞察というものはやはり難しい、という印象は持ちます。
何よりこれらは
「その人だからお願いしたい」
という部分に関係するものです。
ヒアリング、コンサル、ディレクションなどは、
作風に最も影響するものです。
何を聞き出し、何を感じ、どんな風に形にしていくのか?
極端な話、その部分さえ押さえていれば、
形にする時に、あなたである必要はないのです。
例えば、映画とかを想像してください。
映画監督としての作家性を発揮するために、
その映画は全てその監督1人が作らなければ
作家性は担保されないでしょうか?
そんなわけはありませんよね。
映画とはいろんな人が関わって作るものです。
もちろん、いろんな人が関わるからこそ、
いろんな才能やアイデアが混じり合いますが、
それでも最終的に、その監督の作家性は
監督という、”ディレクション”で担保されています。
最終的な決定権はディレクションをする監督にあるからこそ、
その作家性は担保されます。
ですから、それを仕事の見積もりで
正々堂々と作家性を入れ込めば良いのではないでしょうか。
技術的なハードとソフトを切り離して、
見積もりを明記しておくことで、
はっきりと、あなたの作家性を示すことが可能です。
そして、その値段に合意できない方はお客さんではない、
というルールを決めれば良いのです。
単に、技術力だけが必要であれば、
安くやってくれる方を紹介すれば良いですし、
作家性を含めて、
「それでもあなたにお願いしたい」
という人に向けて、仕事をすれば、
あなたが仕事をする意味もあるでしょう。
もちろん、その作家性をあえて、
・見積もりにはいれない
・お金に換算しない
というやり方もあるでしょう。
それはそれで意図的であれば良い
と僕は思っています。
想いベースで仕事をする人もいますから。
ですから、必ずしも作家性を
お金に変える必要性もないと僕は思ってます。
「お金に変えたければ変えれば良い」
という程度のもの、だと思っておいた方が良いと思うのです。
ですが、もし自分の単価をもっと上げたい
という場合は、工場性ではなく
作家性を考慮し、そこの単価を上げた方が、
自然じゃないかと僕は思うのです。
技術力には限界がありますし、
上限単価にも限界があります。
仮に技術力(工場性)の単価が下がったとしても、
作家性でカバーできれば、そこまで困らないものです。
ぜひ参考にしてみてください。